新規事業案が全く思いつかず、藁にもすがる思いで、ネットの海をウロウロと、さまよっていたところ、「これだ!!いま俺に必要なのはこの本だ!」という運命的に出会った、この本。
USJを見事に再建した森岡 毅氏のアイデア発想法ノウハウが凝縮された本の読書メモです。
マーケティングを勉強したい!って方はまずはこの本から勉強するのがいいでしょう。
この本を出版し、ベストセラー入りをさせることも、ハリーポッターのアイデアを成功させるマーケティングの一貫だったと、あとがきに書いてあって、ほんとに森岡氏の策士っぷりに驚かされました。
今回はこの「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?」のアイデア発想法にフィーチャーしてお届けします。
USJを見事に再建した森岡 毅氏とは誰ぞ?
1972年生まれ
神戸大学経営学部卒
大学卒業後、P&G入社
北米パンテーンのブランドマネージャー、ウエラジャパン副代表などを経て、2010年ユー・エス・ジェイ入社
外資系消費財メーカーP&Gのマーケターというだけで、マーケティングのエキスパートですね。
しかも森岡氏はP&G社内大学の校長を7年間務めただけあり、もちろん教え方も一級品。
P&Gで培ったマーケティングをUSJでもトレーニングし、いまのUSJの企画力があります。
USJで教えられていることが、この本に凝縮されていますので、とてつもない価値があります。
しかも実際にUSJで起きている問題に対して、時系列で、“どう、クリアしていったのか” が記されているので、超参考になります。
USJはアイデアが出てこない企業体質だった
「10周年、金がない。さあ、どうする?」 外資系から転職したばかりの私は、こんなときに手を挙げて積極的に意見を言ったり、アイデアを発信する人間が非常に少ない(というかほとんどいない)、USJの社風に非常に驚いたものでした。 〔中略〕
どうやら社風として、自分が起点になって物事を変えるという文化はないようでした。みんな誠実で一生懸命働く人たちなのですが、創造性溢れるアイデアを生み出すのが使命とは意識しておらず、与えられた作業を一生懸命やることが使命だと思っている人が多かったように思います。 アイデアや指示は全て上から降ってくるものだと思い込み、それに慣れきっている、そんな企業風土に私には見えました。
みんな積極的に意見を言わない、受け身というのは、どの企業にも当てはまるのではないでしょうか。
というか、日本特有の悩みの種かもしれません。
これからはボトムアップでどんどん下から上にアイデアを上げていかないと、 徐々に古い体質で、センスのないアイデアのビジネスになってしまって、会社が潰れていくことでしょう。
老人相手のビジネスならいいのかもしれませんが。。。
すこし話が逸れますが、いま、町工場を経営している親世代の子どもたちが、潰れかけの町工場に戻ってきて、若い視点からのアイデアで、町工場を立て直し、発展させることが、結構あるみたいなんですよ。
ほんとにボトムアップが日常的にない会社はやばいと思います。
アイデア発想法は習得すれば、誰にでもできるようになる
決してクリエイティブではない私でも、追い詰められた中でめちゃくちゃに加圧されると、頭の中で眠っている何かが目を覚まして、生き残るためのアイデアを生み出せるようになりました。そういうことを繰り返すうちに、かなりの高確率でアイデアを生み出せる方法を編み出したのです。
森岡氏は超左脳型(論理的、数字、出世型)だそうです。
アイデア発想というと、右脳型(直感、イメージ、天才型)が得意そうなジャンルですが、森岡氏が提唱する「フレームワーク」に当てはめて考えれば、左脳型でも、誰にでも、できるようになるようです。
わたしも直感的にアイデアをひらめくタイプではないので、左脳型でしょうか。
でも数字が苦手なので、もしかして、わたしは“バカ”な左脳型という超希少種!?涙
USJではこの森岡氏直伝の方法をトレーニングして、いまでは、ほぼ全員が習得されているようです。
アイデア量産“森岡流”戦略的フレームワークとは
目的、戦略、戦術の3段階を必ずその順番で考えていきます。何よりも大切なのは、最初に目的をよく考えて、明確に定義することです。
その上で、その目的を達成するために、持っている経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報、時間、ブランド等の知的財産など)を何に集中するのかを選んで決めます。
その選択が戦略なのですが、理解として大切なのはその戦略こそが生み出すべきアイデアの範囲を決める「必要条件」そのものになっていることです。
なぜならば、アイデアとはその戦略の延長線上で次に考えるべき戦術そのものだからです
一番重要な事は、アイデアが満たすべき必要条件を考えること
簡単な例を挙げます。男性が彼女とケンカした後、どうやって仲直りすればよいか、その仲直りのアイデアを考えたとします。
戦略的フレームワークでは、具体的なアイデアをいきなり考えるのではなく、こういう順番で考えることになります。
目的は「彼女と仲直りすること」です。
次に戦略は、「彼女の好きなもので歓心をかう」とか、「彼女の信頼する人に仲介してもらう」など大まかな方針を選択しなければなりません。どの戦略がうまく行くかは状況や彼女の性格次第ですが、この場合は仮に「好きなもので歓心をかう」方針が一番良いと判断したことにしましょう。
その瞬間に、考えるべき戦術(つまりアイデア)の範囲がすごく絞れたことが御理解いただけるでしょうか?
「好きなもの」以外を考える必要がなくなったのです。「歓心をかうに足る彼女の好きなもの」を満たすべき必要条件として絞って考えれば、彼女の好きなアーティストのコンサートチケット、彼女が欲しがっていたバッグ、彼女の好物のロールケーキ……いくらでもアイデアは出てくるはずです。
このときに、別の戦略的な選択であった「彼女の親友のAさんに相談する」などは考えなくても良いわけです
赤字箇所が本書の重要ポイントです。
この例では必要条件は1つに絞っていますが、3つ、4つあった方が、さらに思いつきたいアイデアに近づきます。
例えば、例にあったように、①「彼女の好きなもので歓心をかう」というのに加えて、②「予算は2万円以内」③「今日中に買いにいけるもの」④「サプライズ的な驚きがあるもの」などの必要条件を上げ、そのなぞなぞを自分自身で解いていくのです。
重要なのはその必要条件を熟考し、常に頭にいれておくことです。
そうすることで、新しい情報をインプットしたときに、スムーズに頭の中で関連付け、新たなアイデアの発想と、連鎖していきます。
さらに良いアイデアを発想する確率を上げる
- フレームワーク(戦略的・数学的・マーケティング)
- リアプライ
- ストック
- コミットメント
森岡氏の言う、イノベーションフレームワークはこれらの4つの柱で成り立っています。
①フレームワーク
本書では戦略的フレームワークの話がメインとなりますが、ほかに2パターン紹介されています。
数学的フレームワークでは、問題の原因となるものを見つけ出し、可能性を発見することに向いてるようです。(後に、この数学的フレームワークの解説本も出版されています)
マーケティング・フレームワークについては本書では割愛されています。かなり専門的(超むずい)そうです
②リアプライ(既にあるアイデアから探す)
世の中からアイデアを探して盗んでくることを真っ先にやることは、マーケティングをやる人間には絶対に必要だと思っています。誇りを持ってやるべきです。自分たちでゼロからアイデアを捻り出すのは、本来は探してどうしても見つからないときの最後の手段であるべきだと私は考えています。そしてリノベーションは、それがリノベーションだと気づかれないくらいの新しい価値を創造できたときに成功するのです。
リアプライには利点が3つあります。
①どこかで成功しているアイデアを土台にした方がプロジェクトに圧倒的なスピードをもたらす
②どこかの消費者で試されている分だけ成功の確率も高い
③これが最も重要なのですが、アイデアを自分で生み出すための引き出し(ストック)がものすごく増える、ということです。
アイデアは1から考えるのではなく、ネットで検索しまくりましょう。
その時は一見なんとなく、不必要かなーと思えるアイデアでも、あとになって、あれなんだっけ?ということが、よくあります。
気になったアイデアはどんどんメモしましょう。
本書でも言っていますが、日本人はどうも、1から考えることが好きなようです。
わたしの周りでも会議でのアイデア出しの時に、世の中には既にあるアイデアを、さも自分が発明したかのように、陶酔して語っている人います。
はっきり言って恥ずかしいですよね。長い期間そのアイデアをブラッシュアップしたんだろうなー、と考えるだけでもゾクッときますw
③ストック(情報収集)
転用できるアイデアがないか常に外にアンテナを張っておくと、自分に入ってくる有意義な情報量がどんどん貯まっていきます。その蓄積されていく情報量は自分自身でアイデアを捻り出すときの「ストック」として、確率を高める強力な武器になります。
常に情報収集ですね。インプットしまくりましょう。そして知識として根付かせる為にもアウトプットもかかせません。
「どんな問題に対して、その解決法のアイデアが出てきたか」というところまで、インプットしておくと、応用がききます。
アイデアの引き出しが多い方っていますよね。それってやっぱり日々のインプットを欠かさず、常に問題意識をもって見ているんだろうなー。
④コミットメント(覚悟!)
最後は精神論です。アイデアを思いつくまでやってやりましょう。
ようは「根性見せろよテメー!」ってことですね。はい。すみません
まとめ
もちろん、実際はやってみるまでは何が起こるかわかりません。確実なことはこのテーマパーク業界では何もないのです。しかし私は、常に疑い続ける自分自身を胸の奥に潜ませながら、周囲に対しては「絶対に大丈夫、自信を持って進めなさい!」と敢えて断定口調でポジティブなメッセージを発信することにしていました。 その歩いている一歩一歩が正しいんだ! と思えないと、自信を持ったよいエクセキューション(実際のプラン=この場合はショーやイベントの品質)を現場が作ることはできません。腹の底の弱気や心配は絶対に周囲に悟られてはならない、誰かが言い切らないといけないのです。
良いアイデアが出たとしても、そのアイデアを実現させるのは、ほんとに大変です。
プレゼンして、説得して、みんなを巻き込んで、でもどうなるかはわからない不安の中でも、ポジティブに進め、失敗したら責任をとる。はー、、ほんとに骨が折れますね。
でもリスクをとって、自分のアイデアで未来をつくっていくってかっこいいっす。
マーケティングを勉強するなら、森岡氏の本をおすすめします。
Amazonレビューをみても、かなり評価が高いです。