「これから世の中が、どう変わっていくのか。」「未来はどうなるのか。」
ビジネスモデルを考えるうえでも、未来を予測することは、非常に重要ですよね。
ソフトバンクの孫さんも「ビジネスモデルを選ぶなら常に30年後の王道を」と言っています。
まあ、それが分かれば、だれも苦労しないわけですが・・・
産業の変わり目には、大きなビジネスチャンスが眠っています。農業革命、工業革命、情報革命。その都度、その時代の大きな会社が生まれています。
これから起きる大きな革命は、AI(人工知能)、ロボットの台頭です。
とくに最近、ドローンが落下したニュースが増えてきてますよね。TV番組でもドローンをつかって、撮影した空撮映像が流れることも多くなってきました。
でも、ドローンのことは、よく耳にするけど、実際に「ドローンが世界的に普及することによって、なにが起きるのか」って想像できていなかったんですよ。
そこで今回、ドローンのことを知るには1千万円以上ドローンにお金を突っ込んだ、日本でのドローン第一人者であるらしい、高城 剛氏の「空飛ぶロボットは黒猫の夢を見るか?ドローンを制する者は、世界を制す」を読みました。今回はその読書メモです。
高城剛氏とは
1964年生まれ
東京都葛飾区柴又出身
ライター、元映像作家、元広告プロデューサー
株式会社高城剛事務所代表取締役
元妻は沢尻エリカ
高城剛氏といえば、沢尻エリカと、ハイパーメディアクリエイターという謎の肩書きのイメージしか、一般的には知られていないのではないでしょうか。
でも、ドローンにおける日本の第一人者といえば、高城剛氏なんですよ。わたしも知りませんでした。個人的に総額1千万円以上もの大金をつかい、数十機ドローンを購入してるそうです。ドローンが好きすぎて、この本のタイトルもアイラブドローンにするかどうか、本気で迷ったほど。
本書では、そんな高城氏がドローン製造会社へのインタビューをメインに、ドローンの現状、ドローンで未来がどう変化するか、など盛りだくさんの内容です。
ドローンの種類
ドローンは大きくふたつに分けて考えるべきだと僕は考えている。 ひとつは「インターネットの延長線上にないドローン」。つまりは、今、多くの人が空撮などに使っているものだ。そして、もうひとつ、これから社会を大きく揺るがすのは「インターネットの延長線上にあるドローン」である
「インターネットの延長線上にないドローン」というのは、コントローラーが必要な、ただのラジコンのことです。
「インターネットの延長線上にあるドローン」というのは、簡単に言うと、空飛ぶスマホです。
スマホが普及し、大量生産することで、GPSを含むジャイロセンサーなどのセンサー類、小型カメラも安く流通するようになりました。ドローンがこれから普及していくのはスマホのおかげでしょう。このドローンに人工知能を乗せたものが、これから大活躍する世の中になっていくでしょう。
ドローンをつくっている会社
- 中国の「DJI」
- アメリカの「3Dロボティクス」
- フランスの「パロット」
大きなところで、この3社です。ちなみに、ドローン市場は中国のDJIが市場の7割を握っています。
本書で高城氏は、「DJI」会長 李湘氏、「3Dロボティクス」CEOクリス・アンダーソン氏(米国版ワイアード元編集長)、「パロット」CEOアンリ・セドゥ氏。このドローン製造3社のトップに直接取材をしているところが、この本の面白いところです。
ドローン製造3社の特徴
【DJI】
コストパフォーマンスと開発スピードは圧倒的で、その勢いは市場を席巻している。
【3Dロボティクス】
オープンソース化によって多くの人の意見を集めながらドローンを作り、その「箱」よりも仕組みを追求しようとしている。
【パロット】
デザインの美しさと、新しいおもちゃとしての楽しさを追求
ドローンは常に外的要因の影響で墜落の危険性があり、ハードウェアとソフトウェアのバランスは非常に重要です。
DJIはハードウェアとソフトウェアを同時並行で開発し、アップルのような戦略。対して3Dロボティクスはハードウェアは自社開発だが、ソフトウェアをオープンソース化し、アンドロイドのような戦略をとっています。
ドローンはいつ、どれくらい普及するのか
アメリカのNPOである国際無人機協会(AUVSI)は、2013年に発表したレポートで、2025年におけるアメリカ国内のドローン市場規模を820億ドル(約9・8兆円)、10万人規模の雇用を生むと予測している。一方、アメリカの市場調査会社であるTEALグループは、2024年における全世界のドローン市場規模を120億ドル(約1・4兆円)と予想した。
まだまだ、ドローンは未知の領域のモノなので、それぞれの団体によって、いつ・どれくらい普及するかという予測は、大きく違います。スマホを誰でも持つようになったように、ドローンもひとり一台というのが、未来では当たり前になるのかもしれません。
世界のドローン活用状況
スイスポストは、ドローンを使った配達のテストを始めた。 急傾斜を持つ山が多いスイスは、都市から離れた場所に村落が点在しているケースが珍しくない。
サンフランシスコでは、「医療大麻」をドローンで届けるサービスが始まっている。
やはり、配達サービスが目立ちますね。スイスポストはMatternetが提供するONEというドローンをつかい、1kgの荷物を10km先まで運べるようです。ここ5年で実用化レベルまでにするようです。
スイスポストがドローンによる郵便配達をテスト【動画】 – THE BRIDGE(ザ・ブリッジ)
日本でのドローン活用状況
報道資料 2015年度版 – 12月10日 – セキュリティ(防犯・警備)のセコム
警備会社のセコムは、2015年6月からドローンを使った警備を開始している。不審な人物を見つけると追跡し、人相や車などを撮影するという。
ドローンは警備などの「追跡」には非常に向いています。
ドローンが飛び交う時代では浮気なんて、即バレでしょう。彼女が彼氏の行動を監視するためにドローンを飛ばし、追跡調査をする世の中になったら、怖いですねー。浮気調査の探偵は不要になりますよ。
すでに犯罪にも!ドローンは使用されている
米国とメキシコの国境には数多くのドローンが飛び交っている。それは麻薬のコカインを密輸するためのもので、時には積載オーバーで墜落するのを国境付近で目撃するほどになっている。
空の運び屋って、嫌な世の中ですねー。まあ、ドローンが普及したらドローンを捕まえるドローンなんてのも出てくるんでしょうか。探してみたら、ドローン撃退兵器がありました!SFチックでかっこいい!
Long-range anti-drone gun can secure the entire neighborhood
Amazonのドローン取り組み
2015年11月末には、「プライム・エアー」のための新しい機体と、機能がわかる映像を公開した。最新のアマゾンドローンは大型化し、最高時速約88キロメートルで飛行が可能。配送ステーションから24キロメートルの範囲なら30分以内のドローン配達が可能となる、と発表している。
一般的にドローンを身近に感じるのはやはり、Amazonがドローンをつかった、宅配を始めたときでしょうか。Amazonは世界各国で、ロビー活動をし、かなり精力的に活動しています。
ドローンは「現実社会のインターネット」になる
この会話は3DロボティクスCEOクリス・アンダーソン氏との会話です。ここ非常に重要!
さらにその先に実現しそうなことは? A「『モノのデジタイジング』だろう。インターネットの世界では、僕らは当たり前のように検索を行っている。現在、リアルな世界で『検索』を行うのは難しいが、近い将来、ドローンによって実現できるかもしれない。ドローンがそこまで飛んで行って、現実世界で検索してくれるんだ」 ――確かに。街中にたくさんのドローンが飛び交うような社会がやってきたら、「新宿三丁目にいる緑色の服を着た人」「ニューヨーク五番街で売られているアンティークな家具」などの条件で、検索することができるかもしれないね。 A「そう。世界そのものをデジタル化して、今、インターネットの世界で可能になっていることを、現実世界でもできるようにしたいんだ。『エクステンディッド(拡張された)・インターネット』というわけだね
現実世界を検索・・・
なかなか想像が難しい話ではありますが、ここが本書のポイントでしょう。現実世界がインターネット空間のようにつながりを持ち、現実世界を検索できる。情報は全てが集約されて、ビッグデータとなる。世界がインターネット的な繋がりをもつ。
本書を読み終わってから、ドローンが飛び交っている町をよく想像しています。ここを飛んでいたらドローンはなにをしているのか。そんなことを歩きながら考えていると、溝にハマりましたw 怪我をしたときに、即座に駆けつけてくれる救急ドローンってのもいいですね。